Vacation
毎年夏の終わり、秋の始まる頃に、モンタナで夫の研究室の合宿があります。今年は、その合宿の前にグランドティトン国立公園とイエローストーン国立公園を訪れ、その後私も一緒にモンタナにお邪魔する予定で、9月19日から2週間の旅に出ました。予定と大幅に異なる旅路になりましたが、無事帰って来ました。詳細は追ってお知らせいたします。
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毎年夏の終わり、秋の始まる頃に、モンタナで夫の研究室の合宿があります。今年は、その合宿の前にグランドティトン国立公園とイエローストーン国立公園を訪れ、その後私も一緒にモンタナにお邪魔する予定で、9月19日から2週間の旅に出ました。予定と大幅に異なる旅路になりましたが、無事帰って来ました。詳細は追ってお知らせいたします。
今回は、全行程車で移動の予定でした。途中1泊してGrand Teton国立公園に入り、現地で3泊、隣接するYellowtone国立公園に移動して4泊、そのままMontanaでの合宿に合流して4泊、帰り道どこかでもう1泊して家に戻る手筈で出発したのですが、結論から申し上げると、Grand Teton国立公園に到着して3日目に夫が高山病を発症したために急遽下山、Yellowstone国立公園には辿り着けずにPalo Altoに帰ってきました。(お陰さまで、夫はもうすっかり元気です。)引き返しだした時点でMontanaでの合宿に参加することは諦め、Palo Altoに戻ってから夫がその旨を研究室のマネージャーに連絡したのですが、なんと、飛行機でMontanaに行く予定だったメンバーにキャンセルが出て、ちょうど2人分のチケットが余っているとのこと。長距離ドライブのあとで疲れていたので、私は遠慮するつもりでしたが、マネージャーが「のんびりするには最高のところなのよ〜〜〜。」と誘って下さり、それならばと再び出掛けてMontanaに行ってきたというわけです。
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さて、気を取り直して。まずはGrand Tetonに辿り着くまでを簡単に。
いままで私達が車で行った一番遠いところは、Los Angelsの南に位置するLong Beachで、その距離片道600kmでした。それでも十分遠かったんですが、まだCalifornia州内なんですね。今回の目的地、Grand Teton国立公園までは1550km。実際に走ったのは以下の地図で、行きがピンク、帰りが青の道です。印をつけたところに宿泊しました。
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初日は8時半過ぎに家を出て、Californiaの州都、Sacramentの脇をすり抜けて東隣の州、Nevadaに入り、これを一気に横切って、北に位置するIdaho州最初の街、Twin Fallsまで1100km走りました。Sacramentoの辺りでは、収穫前の田んぼを見かけました。
<←Reno, Nevada>
Nevadaに入るとすぐカジノの街、Renoがあり、そのあとはほとんどずーっと平原と丘陵地だったような印象です。(ええ、あいかわらず記憶があいまいで。)ごくたまぁに町より小さな町がある、といった感じです。ところどころ、人家が見えるわけでもないのにハイウェイの乗り降り口があったりするのが不思議でした。丘陵地の向こうの見えないところに、住んでいる人達がいるってことなんでしょうかね?
<↑ Wells, Nevada>
<← 東の空>
暗くなってからは、車のライトに向かって飛んで来る虫の嵐!車にもフロントガラスにも当る当る。この量が半端じゃなくって、自分が車の中にいるのがわかっていても、思わずうわ〜っと声をあげて首をすくめてしまうほどでした。
<←巨大散水機>
翌朝、さらに東に走ります。Idahoと言えばIdaho Potato。ジャガイモ畑だったのかどうかはわかりませんが、見渡す限りの農地が広がっていて、あり得ないようなサイズの散水機で、何も生えていないように見える畑にもじゃんじゃん水を撒いています。何をこんなに作っているのか。こんなに作って一体誰が食べるのか。恐るべし、アメリカ。そんな畑の中をひたすら走ったあと、Wyoming州に入ってきゅきゅきゅっと山道を登ると、いよいよGrand Teton国立公園です。午後3時頃に到着しました。さてさてさて。どんな景色が待っているのか。
Grand Teton国立公園は、Grand Teton(4197 m)を最高峰とするTeton山脈が西側を占め、山脈の東側の足とも北半分にはせき止められたJackson Lakeがあり、その南東に平原が広がっています。平原の中をゆうゆうと流れるのがSnake River。
<一番左がGrand Teton>
<Jackson LakeとTeton山脈>
<ただただ平原>
<鮮やかな黄色に縁取られたSnake River>
彼方に悠然とそびえるTeton山脈は、公園内のどこから眺めても美しい姿です。行楽時期を過ぎていたこともあり、雄大な自然の静けさが際立っていました。
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Grand Tetonに到着した日は、Jackson LakeのほとりにあるSignal Mountain Lodge(青印)に宿泊しました。チェックインしたあと、車で公園の南半分70kmをところどころ停車しながら一周しました。
Snake River Overlook(赤印)では、
Teton山脈の向こう側に落ちて行く夕焼けの写真を撮ろうと待ち構えました。思ったよりも雲が厚く、山陰に落ちて行く太陽そのものは見えなかったのですが、風に吹かれてぐんぐん移動する雲、その雲に遮られたり合間からビームになったりしながら刻々と変化する光線、またそれに伴って色を変える雲と空。大自然の織りなすダイナミックな舞台をひとしきり楽しみました。そのあと、太陽が山の向こうに落ちてから
<↑じわじわ増えるカメラマン達> の気温の下がるのの早いことといったら!長袖のシャツ+フリース+ジャンバー(フード付き)+マフラーという出で立ちでしたが、じっとしていられません。うーうー言いながら跳ねたり歩いたり。なのに、その頃になってやってくるカメラマンがいるし、立ち去ろうとする人は誰もいないし、一体これから何が起こるというのでしょう?40分以上前からそこにいた私達は、いい加減寒さ耐えられず、もういいだろうと車に駆け込み、帰路につきました。そのわずか数分後。ふとサイドミラーから後ろを見ると、真っ赤に燃える空!くーー、これか!急いで路肩に車を停めて撮影再開です。なんという鮮烈な色。こんなにも印象的な夕焼けは見たことがありません。いやーTeton、来て良かった。
Grand Teton2日目、朝一番の仕事はキャンプ場の場所取り。そう、この日は私達のキャンプデビューの日です!キャンプは、去年から私が心に秘めていた今年一番やりたいことでした。この日の為にテントや寝袋をちょっとずつ買いそろえ、友人に飯盒を借りてご飯の炊き方を習ってきたのです。
前日宿泊したSignal Mountain Lodge近くのキャンプ場には、81のキャンプサイトがあり、空いているサイトの中から気に入った場所を好きに選びました。各サイトの入り口にはサイト番号を記したサインが立っていて、そこにジップロックの袋がぶら下がっています。ここと決めた場所に車を停め、テントを張り、いつまで泊まるかを書いた紙をジップロックに入れ、その日数分の宿泊料金($17/日)をキャンプ場入り口に置いてある封筒に入れて、そばに設置されたポストに投函すればOKです。やったー!
この日は、野生動物を探しながらドライブし、ところどころで、大モノ(?)を見かけましたよ。
(以下3枚の写真は夫の撮影。)
<草を食むプロングホーンの群れ>
<平原をひょうひょうと横切るコヨーテ>
<Signal Mountainで出会ったエルク(=アメリカアカシカ)>
写真には納められませでしたが、バイソンも見ました。はるか彼方に胡麻粒のような群れが見えたり、かと思うと車のすぐ脇を一匹で走っていたり。
キャンプサイトの周辺には、小さなシマリスがちょろちょろしていて、こちらがじーっとしているとすぐ足下まで近寄ってきます。食べるものがあると思うんでしょうかね。なんにもあげないよー。
夕方早めにキャンプサイトに戻り、いそいそと飯盒でご飯を炊き始めました。教わった通りに借りた飯盒にご飯とお水を入れて、火にかけて待つ。沸騰し始めたら火を弱めて待つ。待つ。待つ。ふつふつが無くなるタイミングで火を止めるんですが、その見極めが難しいのです。持参した魚の缶詰で数日ぶりに食べる白いご飯。ご飯って、ホントに美味しい。
夕食後は、日暮れの頃にムース(=ヘラジカ)が現れると教わった場所を目指したのですが、目的地まで予想以上に時間がかかり、目的地に着いた時にはとっぷり日が暮れて、残念ながらムースらしき影は見当たりませんでした。
初キャンプから一夜明けてみると、どうやら夫は高山病で具合が悪いらしい。えー、せっかく今日はハイキングに行くつもりだったのに、、、と思ったのもつかの間、どうやら相当具合が悪いらしい。朝ご飯も食べられずにぐったりしています。昼過ぎまでテントで横になっていたのですが、お昼ご飯も食べられず、よくなる気配なし。高山病の治療は、標高を下げるしかありません。暗くなってから私の運転で山道を下るのは、これまた別の危険が伴う可能性があるので、明るいうちに下山することにしました。言われてみればGrand Teton国立公園は標高2000m前後あり、にもかかわらず今回あまりそのことを気遣っておらず、脱水にならないように水分を多く取ったり、カフェインを控えたりするのをほとんど忘れていました。徐々に疲れがたまっていたことや、夜間思ったより寒かったことなど、複数の要因が少しずつ重なって、ひどい高山病になってしまったようです。ともかく、テントを畳んで荷物を片付け、夫を助手席に押し込んでGrand Tetonをあとにしました。
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約200km走って、日暮れ前に標高1433mのIdaho Falls(右の青印)に辿り着きました。夫は少し楽になったようで、荷物を持って歩くことは出来ましたが、ホテルの部屋に入るとどっさりベッドに倒れ込んだきりです。お腹の空いた私はと言えば、具合の悪い夫を置き去りにも出来ず、持っていた揚げせんべいとナッツをぽりぽり。
翌朝、どうやら朝食は食べられる模様。よかった。この日は、出発がゆっくりだったうえに、私一人で運転することになりそうだったので、途中なんにもないNevada州を走るよりも、家までの距離は遠くなるけれど、多少なりとも街の気配があり、暗くなる頃には適当に近くの街にとまれそうなOregon州(地図青線)を走ったほうがよかろう、と一路西に向かいました。えっちらおっちらOregon州のPendretonまで800km。ここの標高は348mで、ここまで来ると夫はすっかり元気を取り戻しました。あとで調べたところでは、Nevada州を戻ったら標高はずっと1400-1500mのままだったので、結果としてOregon州を通ったのは正解でした。PendletonからPalo Altoまでの1400kmは、夫が2/3を運転してくれて一気に家まで戻ってきました。
今回の旅行で得た非常に重要な教訓。今後出掛ける時には、何よりもまず行き先の標高チェック。1000mを超えてたら要注意。2000m以上の場所には必要がない限り近付かない。私が標高の高いところ行きたい時には、一人で出掛けるか、一緒に行ってくれる友達を探すかになりそうです。いずれにしても、夫の具合が回復し、事故にも遭わずに戻って来られて本当に良かったです。
<帰り道、2年ぶりにMt. Shastaを通りました。>
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