Met Christine Walevska at Santa Barbara

2007年最大の興奮は、東京の友人Iから突然届いた一通のe-mailがきっかけだった。

サンタ・バーバラという町ですばらしいコンサートが開かれるという情報を発見しました。少しでも時間が取れるのなら是非行かれることをお勧めします。生涯最高の演奏会になるかと思います。僕も必ず、日程をやりくりして行きます。

チケットを申し込んで、車でSanta Barbaraへと向かったのは12月の初旬だった。

Santa Barbara Beethoven Fest

友人Iの説明によれば、

チェリストのワレフスカ女史の名前を聞いたことがありますか?無ければ少しネットで調べてみてください。間違いなく、現代最高の(女流に限らず?)プレーヤーです。ところが彼女は30歳くらいから商業ベースの音楽活動を離れ隠遁生活を行っていたため、我々が実演に触れるチャンスはまずあり得ないものでした。そんな彼女が、ロスの片田舎の音楽祭に登場するというのです。

その音楽祭とは、Santa Barbara Beethovenfest。町の音楽愛好家が主催するすべてが手作りの小さな小さな音楽祭だった。

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2日目のコンサートが終わったあと、楽屋へと向かった。友人IはWalevska女史とその師匠のBologniniのLPレコードを東京から持参していた。それを知ったWalevska女史は、楽屋でわれわれ3人のためだけに、3曲のアンコールを演奏してくれたのであった。そのLPに収録されている曲ばかりを。Beethovenを演奏していた時とは違う温度がチェロに込められていった。

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そして時が立つのも忘れて話をしてくれた。

Bologniniの未亡人がSanta Barbaraに住んでいるのが縁でこのコンサートにやってきたこと、デビューしてすぐに一世を風靡した頃のこと、70年代に日本ツアーに行った時の思い出、その後ピアニストのパートナーと彼の故郷アルゼンチンに渡って演奏していたこと、近年ニューヨークに帰ってきたところ、「商業ベースの音楽活動を離れ隠遁生活を行っている」という話が広まっていたこと、などなど。

最後に「いつでもレッスンを受けにニューヨークにいらっしゃい」と。

with Christine Walevska

心の奥底にしまっていたチェロを弾く幸せが、こみ上げてきた一夜となった。

予言通り「生涯最高の演奏会」になったのである。友人I、ありがとう。

2010.6.12追記

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December 30, 2007