Die Luft der Freiheit weht (自由の風が吹く)
野口悠紀雄氏の新刊「ゴールドラッシュの『超』ビジネスモデル」を読んだ。あるようでなかなか無い、「なぜシリコンバレーなのか?」の問いに簡潔に答えてくれる良書であった。
日本に欠けているのは、まさにこの空気だ。
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銀行がベンチャーキャピタルをつくり、地方公共団体がインキュベーション・センターを設立したところで、どうにもならない。「日本にもシリコンバレーをつくり、ベンチャビジネスで日本経済を活性化しよう」などという政策提言を見ると、むなしい気持ちになる。そもそも「ベンチャー育成」という考え方自体が自己矛盾に陥っている。なぜなら、ベンチャーとは、自力で未来を切り開く企業なのだから。
最近の野口氏の『超』シリーズは週刊誌連載を自動的に単行本化したような感があった。本書も『週刊新潮』の連載を再構成した物だが、濃密な内容で、「自由の風が吹く」をモットーとするスタンフォード大学での氏の客員教授としての1年間がいかに刺激的だったかが伝わってくるかのようである。