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Hanna House Tour

アメリカを代表する建築家の一人、フランク・ロイド・ライトの設計した個人住宅がスタンフォードにあり、決まったスケジュールで一般公開されているということを友人から聞き、予約を入れて尋ねてきました。

Hanna House

 ハンナ・ハウスと呼ばれるその家は、 スタンフォード大学で教鞭をとっていたハンナ教授夫妻の為に1936年に設計されたものです。別名ハニカム・ハウス(Honeycomb House)とも呼ばれており、その名の通り、正六角形をつなげた蜂の巣のような構造が特徴です。この家のために作られたリビングの椅子の座面や背もたれも正六角形。ダイニングテーブルの角も120度。暖炉も正六角形のモチーフです。
Hanna House<←手前がダイニングルーム(もとプレイルーム)。多少、縁側の雰囲気があるような。>
 建築当時の間取りはと言いますと、玄関、リビングダイニングと子ども達のためのプレイルーム、子供部屋と主寝室が台所を中心にぐるりと配置されていました。外から帰って、玄関からリビングに入ることも、台所に直接入ることも出来ます。台所からは、リビングとプレイルームの両方を見渡せ、個室以外の空間にいれば、家族がお互いの気配を感じられるわけです。この家が設計された当時、台所は家の一番奥にあり、リビング、ダイニングなどはそれぞれ独立した部屋になっているのが常で、この開放的な間取りは非常に斬新だったそうです。その後、子ども達の成長と独立に合わせて、プレイルームはダイニングルームになり、複数あった子供部屋は主寝室に、主寝室は夫婦の書斎に、と改築され、現在その形で保存されています。どの部屋も壁の一面はガラス窓で、非常に開放的で明るい空間でした。後にゲストルームが別棟として増築されたそうですが、これは設計当初から予定されていたものだそう。母屋との間には多少の目隠しがあってお互いのプライバシーが守られながら、必要に応じて容易に行き来のできる程よい距離感を保っています。このゲストルームは今も現役で、学生が住んでいるそうです。なんともラッキーな学生です!
Hanna House<←書斎(もと個室)側。>
 外観は、水平方向の線が強調された装飾が施されています。一部、アメリカの住宅としては比較的天井が低く、この低い天井、線の強調されたデザインを「日本的」と感じる人もいるそうです。
 また、この家には壁に囲まれた車庫がありません。玄関先に張り出すような格好になっている屋根の下が駐車スペースです。これも当時としては新しいスタイルだったそうです。車庫には車を止めるという目的と同時に、あるいはそれ以上に物置としての役割があるのですが、それが無いとなると収納場所が少なくなってしまいます。そのためか、家の随所に小さな収納場所が散らばっており、まるで日本の家の隙間収納を見るようでした。玄関先のベンチの下、リビングやプレイルームに作り付けられたソファーの下、バスルームの壁や角、部屋と部屋のちょっとした隙間などです。
 それ以外にも、音楽好きの夫妻の希望で玄関ホールに大きなスピーカーが内蔵されていたり、外壁に面した暖炉の脇に外から薪を入れるための小さな扉がついていたりと、この家ならではの工夫が随所に見られます。設計を依頼した夫妻と、夫妻の希望を形にしようとした建築家とのやりとりはどんなものだったのでしょうか。小市民の私としては、リビングダイニングとプレイルームのつながった、広い広い空間の暖房費などが気になるところではありますが、六角形というユニークな形を取り入れながら、家族を包む器としての機能を果たすこの家は、遊び心と実用が絶妙なバランスを取っているんだなと感じました。

 母屋は1975年にスタンフォード大学に寄付されたのち、大学関係者が住んでいたそうですが、1989年の地震で大きな被害を受け、その修復に10年を要し、1999年以降一般に公開されています。是非また訪れたい場所です。

家の中は撮影禁止。その他の外観写真はこちらです。

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2009年04月22日 18:33に投稿されたエントリーのページです。

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