Movies in 2011 すばらしい映画はどれも初監督作品だった
2011年はすばらしい映画に出会えた年でした。そのいずれもが初監督作品。
Margin Call
2008年のいわゆるリーマン・ショックの底の見えない市場下落。その引き金を「引かねばならない」という立場になった投資銀行家たちの24hを描いたドラマ。本作が映画初監督となるJ.C. Chandorが書いた脚本に賛同して、錚々たる名優たちが参加した作品。各登場人物のキャラクターと俳優の組み合わせがもの凄い切れ味でマッチして、始めから終わりまで高い緊張感が途切れることがない、という映画を観るという体験としてすばらしい映画でした。
エンディング・ノート
定年退職したとたんに末期癌が発見されたサラリーマンの「終活」を追った映画。その「娘」の初監督作品。主人公である「父」の卓越したユーモア力と、「娘」が「監督」としての立場をバランスよくキープしたことによって、すばらしい作品にまとまっている。なるべく多くの人に観てほしい映画。
善き人のためのソナタ
1984年、壁の向こう側の東ドイツの様子を克明に描いた作品。わずか27年前と、自分の生活と過去進行形。さらに今年、ベルリンを訪れる機会があったことも作品の世界に入る助けとなりました。西ドイツ出身の監督が4年間のリサーチ、インタビューを経て練りに練った脚本に、賛同した名優たちが馳せ参じたことによって、もの凄く深みのある作品となっています。
この3つの作品に出会って思ったのは、映画という仕組みのすばらしさ。まだ監督やったことのない人の脚本に魅せられて、名優たちが馳せ参じる、なんていい話です。