One theme, one article
2ヶ月のあいだ、世界でもトップクラスの科学者の先生と机を並べて仕事をすることとなったmehoriさんのエントリーより。若い頃にアメリカに渡り、独力で一分野を築きあげた伝説に近い存在(論文被引用回数>10000)だそうです。
「mehori さん、一つの論文には一つのテーマしかいれてはいけませんよ。いきなりベートーベンの 9th Symphony みたいなものを書き始めては、あっちはどうだったっけ、こっちはどうだったっけと、頭がめちゃくちゃになるだけです。自分でことをえらくして難行苦行して、それが頭がいいことだと勘違いをしてはいけない」
私が助言に感謝して机に向き直り、数分がたつと、うしろから小さなつぶやきが聞こえてきました。
「もっとも、あのすごいシンフォニーもテーマは一つでしたな….」
Lifehacing.jp: 一流の研究者の集中力(2)超シングルタスクのすすめ
これはまさに、本ブログのテーマ「Simple is the essence of essences.」ですね。そして実践的には、論文を書き始めるときにそれを意識するのだけではなく、実験を始める前にこそ、強く意識するべきだ、と思います。
「一つの実験には一つのテーマしかいれてはいけない。」
以前ご紹介した石坂公成氏の言葉「実験する前に論文を書け」と本質的には同じメッセージと言えるでしょう。
実際には、途中でいくつもの興味深い結果が出てきて話は膨らみ、論文を書く段階で再び「一つのテーマ」にしぼる訳ですが、手を動かす前の時間の使い方こそが、全体のproductivityに最も影響をもつということを最近実感しています。そしてその鍵は議論であることも。まるで日本酒を仕込む前にお米を研ぎに研ぐように。