「本当の大変化」は既に始まっている

日本のAmazonから「ウェブ人間論」が届くのを待ちながら、「ウェブ進化論」を再読した。

ウェブ進化論 本当の大変化はこれから始まる ウェブ人間論

「ウェブ進化論」は適切なタイミングかつ新書という適切なフォーマットで世に出た「地球の歩き方『あちら側』編」に他ならない。この本が2006年2月に出版されていなければ、12月に発表されたTime's Person of the Year: 「You.」に対する日本人の反応は大きく異なっていたであろう。

「インターネット」「チープ革命」「オープンソース」の三大潮流の相乗効果による「本当の大変化」とは具体的に何なのだろうと考えていて、江島さんのエントリーを受けた梅田さんのエントリーにその糸口を見つけた。

口には出さずとも同等以上にわかってる奴はつねに100人はいる。それを論文にまとめたりブログに書いたりできるやつが10人ぐらいいて、本気でそれの実現に自分の人生を賭けるやつは1人しかいないっていうだけのことさ。

「グーグルが無敵ではないことはエンジニアだけが知っている」 – 江島健太郎 / Kenn's Clairvoyance

江島節の「さび」の部分はこれで、全くその通りだと思う。

口には出さずとも同等以上にわかってる奴はつねに1000人はいる。それを論文にまとめたりブログに書いたりできるやつが100人ぐらいいて、本気でそれの実現に自分の人生を賭けるやつは1人

に修正したくなるほどだ。

人それぞれの個性について – My Life Between Silicon Valley and Japan

この「口には出さずとも同等以上にわかってる奴」の母集団の大きさは不特定多数「有限」で一定なので、最初の層が三大潮流によって100人から1000人に、という10倍も大きな変化だ。

しかし長い目で見たときに最もインパクトがあるのは、「それを論文にまとめたりブログに書いたりできるやつが100人」と「本気でそれの実現に自分の人生を賭ける1人」の間に、「とりあえず実現に向けて手を動かしてみる10人」という層が発生する、いや発生しているという事実ではないだろうか。

「実際に手を動かしてみる」層の拡充こそ、プロフェッショナルの定義を変革してゆくポジティブな力になってゆくだろう。そして「実際に手を動かしてみた」人がその母集団に対してどのような質の情報を開いてゆくのか、それが一層大切になってくるに違いない。

僕の専門領域で言えば、例えばPLoS (Public Library of Science)という形で、コンセプトから仮説と検証の段階に進んでいる。「本当の大変化」はある日突然起こるのではなく、既に始まっているのである。

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December 26, 2006