2つの世代を両方体感できる必要性

Foresight

新潮社フォーサイト誌ブログもある)主催の梅田望夫さんセミナーを聴きにいった。テーマは「ウェブ社会『大変化』への正しい対応・間違った対応」である。

冒頭、フロアへの質問で、

「このセミナーの存在をインターネットで知った人?」:参加者の1/3位

「インターネットでアナウンスがあったことを知らない人?」:参加者の1/3位

この2つの集団が全く分かり合えない別世界を作ってしまうのでは・・・というところからセミナーは始まったのだが、これで俄然面白くなった。なぜなら、この2つの集団が半分ずつ一つの目的で集まるという機会は滅多に無いからだ。具体的には、前者はネットの中に既にいて、そこで起こっていることを体感している集団、後者は主に今の世代で成功された方、エスタブリッシュメント、との定義は極めて的確だと思う。

この2つの集団を遡上に乗せた場合、ややもすると、これからのウェブ社会へ対応するにはネットの世界を体感できることが必要ですよ、という部分が強調されやすいが、セミナーの2時間で重要なことに気がついた。それは、現在のエスタブリッシュメントの世界も体感できていなければならない、ということだ。

梅田さんの様々な論説が説得力を持つのは、この2つの集団を両方とも体感できているからこそなのだろう。そして、10年後という点での発想ではなく、今日からの10年という線での発想をしたとき、もっとも必要とされる能力は、2つの集団を体感し、その両者を橋渡しすることのできる能力ではないだろうか?巨視的には、世代はある日突然交代するのではなく、グラデーションを持って移行していくものだから。

はたして、ネットの世界は既に体感中の若い世代の中で、現在のエスタブリッシュメントの世界を体感する必要性を感じている群はどれくらいなのだろうか?こちらの集団にとっても、「Never Too Late」である。また、梅田さんが参画された「はてな」には、両者を橋渡しする能力を無限大にenhanceするための仕組みが実装されることがあるのだろうか?これはGoogleにはないかも。

後半の質疑応答での、現在のエスタブリッシュメント世代と思われる方から、若い世代間でのデジタルデバイドを危惧する質問が出たことが、本セミナーの存在意義だったと思う。

セミナーの詳細な記録は、こちら。(本セミナーを聴いたからには、新潮社がこれをOKするとことを期待しています)

追記:最後の一文に関して梅田さんからエントリーがあったので、トラックバックを追加しました。

September 17, 2005