Economic Stimulus Plan
アメリカの景気対策法案が下院を通過して現在上院で投票中だ。
そのスローガンの一つが「Restore science and innovation」。NIH予算を例にとっても、確かに2004年以降のブッシュ政権はマイナス査定を続けてきたので、restoreが必要だ。ただし、ここ数年Nature, Science誌などでもたびたび取り上げられるNIHグラント採択率の低下は、それだけが原因ではない。
大きな転機はクリントン政権時代に決定されたNIH予算倍増の方針である。これを受けて全国の医学部・研究所は競ってビルを新築しポストを拡充した。結局ポストの数は2倍を越えたと言われている。物価上昇率、そしてそれを上回ることの多いバイオ研究費上昇率を勘案すれば、予算が倍増しても賄える人数が2倍には達しないのは自明だ。
予算案ではEconomic Stimulus Plan $787BのうちNIHへは$10B(ちなみに年間予算は$30B)。そのうち$1.5Bは大学研究施設の改築に的を絞った予算だ。
Provides $1.5 billion for NIH to renovate university research facilities and help them compete for biomedical research grants.
たしかにグラント獲得はますます競合的になるわけで、全体としてアメリカの科学技術の向上には効果的。しかも建設費・機器購入費はすぐさま周辺産業を潤すわけで景気対策法案として理にかなっている。
一方、1プレーヤーとしては、ますます覚悟して参加する必要がありそうだ。